仕事を知る
PROJECT
軌道工事の現場で磨かれる 技術とチームワーク
-JR熱田駅構内PCまくらぎ新設工事-
安全を守るための 現場マネジメント
私は2016年から約9年間、事業所長として在来線の軌道工事の現場管理に携わってきました。
軌道工事とは、鉄道の線路やまくらぎ、レールなどの軌道設備を整備・更新する工事であり、列車の安全な運行を長期的に支える、鉄道インフラの基盤を守る重要な仕事です。
先日、熱田駅構内では、老朽化した木製まくらぎを耐久性の高いコンクリート製(PC)まくらぎへ交換する工事を行いました。特にカーブのきつい区間では、木製まくらぎが経年劣化するとレールが広がり、脱線につながるリスクが高まります。こうしたリスクを未然に防ぐことが、私たちの主な仕事です。
工事は、列車が通らない夜間(23時から翌朝5時頃)に行いました。工期自体は1か月弱でしたが、事前準備を含めると、数か月にわたって計画的に進めるプロジェクトとなります。限られた作業時間の中で確実に工事を行うためには、綿密な準備とチーム全体の連携が欠かせません。
このような工事を安全かつ確実に進めるうえで、特に重要だと感じているのが事前準備と現場全体のマネジメントです。JR東海との打ち合わせに向けた施工計画書の作成や測量といった準備業務に加え、安全・品質・工程をバランスよく管理する力が求められます。夜間という限られた作業時間の中では、段取りの正確さが安全性と作業効率を大きく左右します。なかでも、私が特に重視しているのが安全管理です。PCまくらぎの搬入を伴う現場では、大型重機や運搬車両が同時に稼働する場面も多くあります。作業に慣れてくるほど油断が生じやすいため、「声かけ・応答」を徹底し、常に緊張感を保ちながら作業に臨める現場づくりを大切にしています。
ミリ単位の精度を支える 信頼関係
まくらぎの配置には、ミリ単位の精度が求められます。わずかなズレが将来的なレールの歪みにつながるため、高い技術力に加え、関係者全員が同じ認識を持って作業を進めることが欠かせません。JR東海、協力会社、当社が一体となり、確実な施工を行う体制づくりが重要だと感じています。
その中で、私が特に大切にしているのが信頼関係とコミュニケーションです。特に協力会社との信頼関係は、現場を円滑に進めるうえで欠かせません。信頼関係が揺らげば、作業のスピードや精度に影響し、結果として安全性にも直結します。そのため、若手社員には「わからないことをそのままにしないこと」「知ったふりをせず、素直に確認すること」を伝えています。安全で正確な施工は、こうした基本的な姿勢によって支えられているからです。確かな施工を実現するためには、技術力だけでなく、立場の違いに関わらず遠慮なく意見を交わせる関係が重要です。わからないことを気兼ねなく相談し、互いに声を掛け合える雰囲気づくりが欠かせないことを、現場を通して感じてきました。
こうした環境の中で経験を重ねていくことが、安全で確実な施工につながり、技術者として長く力を発揮していくための基礎になると考えています。
利用者の日常を支える 誇りとやりがい
軌道工事は、決して目立つ分野ではありませんが、列車が安全かつ安定して走り続けるための基盤を整える、鉄道インフラに欠かせない役割を担っています。日々の運行を陰で支えているという誇りが、この仕事にはあると感じています。
作業が無事に終わった翌朝、列車が何事もなく走っていく姿を見ると、言葉にしづらい達成感があります。
自分たちが手を入れた線路の上を、地域の利用者が日常どおりに移動している。その光景に、軌道工事が担っている役割の大きさを実感します。また、現場がチーム一丸となって取り組み、工程ごとに安全に作業が進んだときには、安堵とともに確かな手応えを感じます。
軌道工事は、一つとして同じ条件の現場がありません。だからこそ、これまで身につけてきた技術や知識を活かし、状況に応じて柔軟に課題を解決していく面白さがあります。所長の立場では、自身の判断や工夫が、鉄道の安全性や現場の雰囲気に直接影響することもあります。プレッシャーはありますが、その分、仕事をやり遂げたときの手応えや達成感は非常に大きいと感じています。
軌道工事は、 奥が深い
事故やトラブルなく工事を終えるためには、現場に関わる全員が「鉄道の安全を守る」という共通の目的を共有することが欠かせません。これまでの経験を通じて、軌道工事は一人で完結する仕事ではなく、チームワークによって成り立っている仕事だと強く実感しています。
また、現場での経験を重ねることで知識や技術を磨き続け、専門性を着実に高めていける点もこの仕事の大きな魅力です。現場で得られる経験は技術者としての視野を広げるだけでなく、人としての成長にもつながっていきます。そうした日々の積み重ねの中で、軌道工事が担う社会的な役割の大きさやこの仕事ならではの奥深さを改めて感じています。
INTERVIEWEE
軌道部 軌道課 S.Kさん / 2003年入社 土木建築部卒
入社後、約10年間は現場監督として線路新設工事に従事し、現場管理を担当。
2013年からは保守(メンテナンス)工事の現場監督として、引き続き現場管理に携わる。
2016年から2025年3月までは事業所長として豊橋・笠寺・名古屋の各事業所を担当し、所員のマネジメントおよび現場管理に従事。
2025年4月からは本社軌道部に所属し、主に積算業務を担当している。